日本人とモノづくり

提供: 有限会社 工房 知の匠

文責: 技術顧問 大場 充

更新: 2024年12月23日

目的とねらい

明治時代以前からの、特に江戸時代以降の、日本人がモノ作りにどう取り組んできたか、そして「日本人は勤勉である」と言う認識が、いつ頃から言われてきたのか、それはなぜだったかについて、考え、議論します。戦前から日本の自動車産業を支えてきた日産自動車と、戦後の日本の自動車産業の躍進を支えてきたホンダが、経営統合して、世界第3位の自動車販売規模の企業を生み出そうとする計画が、2024年末、日本社会で話題になっています。これは、日本の電気メーカであるシャープを買い取って、その経営再建を行っている台湾の半導体製造メーカが、経営危機に陥っている日産自動車の株を、フランスのルノーから買い取り、日産自動車を子会社にしようとしている動きがあるからだと、言われています。

1990年頃、世界第2位の経済大国と言われていた日本は、自動車生産において、トヨタ、ニッサン、ホンダなどの日本を代表する企業群が世界市場を席巻していました。その時、フォルクスワーゲンに次いで、現在は世界第三位の市場占有率を持つ韓国の現代自動車は、三菱自動車よりも低い市場占有率でした。この30年間で、日本の自動車産業は、トヨタを除けば、世界市場から消え去ろうとしています。これは、日本社会が、「ものづくり」に長けた特別な社会であるとする、昭和初期からの日本人の認識が、決して正しいものであったとは言えないことを示しているように見えます。